2008年11月11日火曜日

K君からの手紙

心に残っている生徒の思い出話です。

K君は中1と中3の時に私のクラスでした。
勉強はあまりできなくて、それをキャラにして笑いをとるようなことをしている子でした。親もクラスメイトも「この子は頭が悪い」というレッテルを貼り、本人もそう思い込んでいるようでした。小学校からの申し送り事項にも「勉強嫌い。学力・低」とありました。
どう指導しても、1年生の頃は全く勉強をしなくて困ったものです。
やがて彼は不良グループの仲間入りをします。でも下っ端の使いっぱしりで、不良になってもバカにされていました。
それでもヘラヘラ笑っているK君を、私は腹立たしく思っていたものです。

K君が3年生になったときの進路指導の面談でのこと。
やる気のない態度と受け答えにカッとなった私は彼に言いました。「それで悔しくないのか?お前は男だろ?こうやって、ずっとバカにされて生きていくのか?」
暴力で反抗してくるかと覚悟していたのですが、私の言葉に彼はボロボロと涙をこぼしました。「悔しい。俺をバカにした奴らを見返してやりたい。」と。
勉強を一から頑張りたい。高校に入りたい。これが彼の本音でした。
でも、一度演じてしまったキャラから脱却するのは難しいものです。受験生になって急に真面目になると、彼の場合はイジメの対象にされる危険性がありました。

そこで私たちは考えました。
表向きは今までどおりの生活ですが、早朝の勉強会を開くことにしたのです。
朝の7時から約45分間。まだ誰も登校していない教室で勉強を教えました。
最初は分数の計算やアルファベットの書き方からです。毎日、計算・漢字・英単語の宿題を出しました。K君は頑張りました。
一つ一つ時間をかけて教えると、確実に覚えていきました。本人のやる気と環境さえ調えば、落ちこぼれなんて存在しないのです。

3月。彼は見事に志望校に合格します。
卒業するときに「俺は高校を出たら調理師になる勉強をする。いつか自分の店を持つ。最初のお客さんは先生だからね!」と言ってくれました。
私が号泣したのは言うまでもありません(笑)
K君たちが私が教師になって最初の卒業生です。
私がまだ25歳の時のことでした。

感動的に思えるこの話には後日談があります。
中学を卒業してから1年くらい経ち、K君から手紙が届きます。
内容は……^^;  高校を中退したというものでした。
中学時代に不良グループにいたことや高校に入ってからの成績不振などを理由に、高校の先生方にバカにされ不当な扱いを受けたそうです。最初は我慢したものの、あまり頭にきたので先生と喧嘩して辞めたと書いてありました。
でも、自分はやればできるということを教えてもらったので絶対に負けない!と力強く締めくくってありました。
高校中退は残念でしたが、彼が自信を持って自分の人生を切り拓いていける人間に成長したことを嬉しく思ったものです。
今でもこの手紙は私の宝物です。

さて、現在のK君はどうしているか……というと。
早くに結婚し、今は可愛い奥さんと二人の子どもに恵まれて暮らしています。成人式で会ったときに既に最初の子がいましたからね(笑)
調理師になって自分の店を持つという夢とは違う道を歩いていますが、今の仕事で家族のために働くことが幸せなのだそうです。

4 件のコメント:

眞李亜 さんのコメント...

コンバンハーヾ(・∀・`o)ノ))
ジーンとするお話ですね。
高校になると、中学とは違い、なかなか親身になって考えてくれる先生が少ないように思います。
K君の気持ちもわかります。
でも、junchanさんがK君に自信を持たせてあげたおかげで、自分のことをちゃんと見据えて、立ち直ることができたんだと思います。
いい先生にめぐり合えたK君は幸せ者ですね。

はりねずみ さんのコメント...

凄くいい話ですね。
目頭が熱くなりました…
真っ向からぶつかった甲斐がありましたね!
その時の時間はKさんにとっても一生の宝物だと思いますよ。
思い描いたような人生にならなかったようですが、今家庭を守れる人になったというのが本当に素晴らしい事だと思います。

温かい気持ちになれました。
ありがとうございます!

junchan さんのコメント...

眞李亜さんへ

お返事が遅れて申し訳ありません。

K君だけでなく、これまで出会った生徒一人一人から学ばせてもらって成長していると思っています。まだまだ未熟者ですけど(笑)
K君には「忍耐」も教えてあげたかったと後悔しています^^;

junchan さんのコメント...

はりねずみさんへ

お返事が遅くなり申し訳ありません。

お褒めいただき有難うございます!と言いたいところですが、結果オーライだったから良かったものの一つ間違えば大変なことになっていたと思います。
私もまだ若かったので…熱くなったんですよね。若さ故の過ちにならなくて良かったです(笑)